本当に問題行動?

今回は最近ご相談が多い、しつけのことについて書いてみたいと思います。

しつけのことと言っても、私自身はドッグトレーナーの資格もありませんので、今回の記事に関しては

一飼い主として、またお客様のワンちゃんたちを拝見したうえで私なりに感じることをお伝えしたいと思います。

しつけレッスンを受けられる前のちょっとしたお話、くらいにお読みいただけると幸いです。

 

しつけに関しては(何に関してもそうですが)、これが正解というものが存在しません。

100頭いれば、100通りの方法があると思います。それは、普段生活している環境や仔犬の頃に育った環境、

先天的な性格、または後天的に身についた習慣や癖など、本当に様々な要因が今の愛犬を作っている、と言っても

過言ではないからです。

 

私が自分自身の経験を通じて、しつけをすることで一番大切ではないかな、と思うことに、

「まず何が問題なのかを正しく理解すること」があります。

例えば、ワンちゃんが来客時にワンワン吠えたとき、飼い主さんにとっては「無駄吠え」であり、

一刻も早く止めてほしい悪い習慣だ、となったとします。

住宅事情などでご近所への迷惑になる、または吠える声で耳が痛いなどの理由で「犬が吠える=無駄で迷惑なこと」ということになり、

「吠えている理由」にはあまり目が向かないということが起こります。

そこで、トレーナーさんに「来客時の無駄吠えを止めさせたい」というご相談に来られます。

結論からお伝えすると、犬たちに無駄吠えはありません。「意味のない無駄な吠え」ではなく、

吠えている理由が全てのシチュエーションにおいてあります。

人間にとっては迷惑だから無駄吠えとなるわけですが、理由がきちんとあるのです。

なので、単に吠えることそのものをすぐにやめさせるのはとても大変です。

だって犬たちにとっては、吠えるべき(もしくは吠えてしまう)理由があるからです。

 

ここで大切なのが最初にお伝えした「まず問題を正しく理解すること」だと思います。

簡単に言うと、「なぜ吠えているのかをの理由を正しく理解すること」です。

吠えている時に何が起こっているのか、何がいつもと違うのか。

このことを理解すると、もっと愛犬を知るということに繋がります。

愛犬は何をどんなふうに感じ、どんなふうに考えているのか。

これを考え、知ることがとても大切だと思うのです。

そしてこれは、愛犬を一つの命として尊重することにもなるのではないでしょうか。

単に飼い主さんが ”なって欲しい理想の犬” にを作り上げ、

飼い主さんのしてほしくないことを一切しない従順な犬にすることは、

それはそれで犬たちの個性を潰してしまうような気がします。

 

私たち人間にも欠点はたくさんあるのに、愛犬のこととなると悪い習慣は全て止めさせようとする。

もちろん、中にはやめさせなければいけない習慣もあると思います。

しかし、「犬は人にとって悪い事は一切せず、人間を癒す役割を担い、常にいいコじゃないといけない」なんていうのは、

ちょっと違うのではないかな、と思います。 

 

一般的に「問題行動」と言われるものでも、状況から判断すれば、「当然起こりうる行動」の可能性もあります。

例えば怖い思いをして保身のために吠えている場合、それは問題行動ではなく、状況的に吠えて当然だったと判断することもできます。

それを叱ってしまうと、犬は「怖がっていることを責められている」と思いかねないと思います。

また、過去に健康上に何か不具合があって吠えたり咬んだりしていたコもおられました。

その場合は、栄養状態が改善していくにつれて、徐々に問題行動が減っていったこともあります。

 

犬たちも犬なりに考え、行動しています。

私たち人間の感覚で判断してしまう前に、一度よく愛犬を観察してみてください。

愛犬も今までの経験に基づいて一生懸命自分なりに考えて行動しています。

その愛犬の気持ちを尊重したうえで、安心して生活できるようサポートしてあげることができたら最高だと思います。

 

お座りや待てができることもコミュニケーションという意味では大切かもしれません。

でもその一歩前に、お互いが考えていることを伝え合うことができる、これって理想的なのではないかなぁと思います。

それが叶うと、信頼できる飼い主さんと心が豊かな犬という最強のパートナーシップが実現するのではないでしょうか。

飼い主と犬の関係、いま一度考えてみていただけたら嬉しく思います。

 

※今回の記事は一例であり、状況によってはきちんとトレーニングしなければならない場合もあるかと思います。

ケースバイケースですので、詳細につきましては専門の知識をお持ちのドッグトレーナーさんにご相談ください。

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